母の指輪のリフォーム

母の指輪のリフォーム

 

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

最近あまり指輪着けないから、これ使って好きな感じで指輪作ってよ、
と母のジュエリーを預かってから2年余り。
先日、リフォームを経てようやく完成した指輪を渡してきました。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

預かった品物をよく見ると、中にエンゲージリングが2本。
えっあの人にそんな過去が…という知られざる親族の歴史も暴かれたり。

私が子供の頃に母の指に光っていた記憶のある、ダイヤモンドを5石並べた結婚指輪も
色々あって溶かすリストに入ったのでした。
子としてちょっと寂しい気持ちはありますが、今回はお焚き上げ案件でもあるため、ぐっと堪えてお預かりしました。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

石は全部使わなくてよい、とのことでしたが、面白いので全部使ってみることにします。
デザインを提案すると、さすが我が母というセレクト。
一番捉えどころのないものを選んでくれました。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

預かった指輪は6本、うちダイヤモンドが24石、サファイアが1石。
石は割れや欠けが起きないよう、細心の注意を払って外します。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

デザインが決まると、ワックス原型の制作に着手します。
プラチナも昨今価格が大変高騰しているので余分な地金は使いたくないですが、ボリューム感が重要なデザインなので、全体の立体感、石のバランス、重量、テクスチャー、着用感など、地金になったときの雰囲気を想像しながら調整していきます。

溶かして、盛って、削って、また溶かす。
手と目を通して世界と対話する、一番夢中になる作業です。


SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

そしてついにお渡し。
なんとか古希に間に合いました。
木漏れ陽にも映えていい感じです。


右手中指のサイズが21号と、かなり太めの母。
私の同じ指は11号。21号は親指でも緩いくらい。

母娘で10号も違うなんて一体ぜんたい…と不思議に思いつつ、振り返ってみると母は昔から働き者で、なんでも作る人でした。
毎日の料理はもちろん、子供たちの服、編み物、布製のぬいぐるみ、短歌、地元新聞、油絵、その他あらゆる些細なことやもの。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

私の骨の髄まで染み込んだ「作る」ことへの憧憬・欲求には、間違いなくこの母の影響があり、
そう考えると、21号分のプラチナも使い甲斐があったと言えます。
世代もあるでしょうが、私の指が今からそのサイズに追いつくことはなさそう。

さらりと気取らずに身に付けてもらいたいです。

SHINDO HARUKA Note 母の指輪をリフォームしたマグマの指輪

今後オーダーメイドについても時々Noteでご紹介していこうと思います。


新藤はるか

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